千代田の「八重の桜」
NHK 大河ドラマ「八重の桜」では、主役が新島八重で、桜の事ではありません。私 が申し上げたいのは、千代田区内に咲く多くの八重咲のサクラのことです。桜アンパンの上にのっている桜が「八重の桜」です。このサクラは「関山 カンザン」という品種で す。日本人は江戸時代からこの桜を塩漬けにして食していました。
八重咲のサクラとは、定義が明確ではありませんが、花びらが 10 枚以上の桜の総称です。 写真右をご覧ください。この白い八重桜は、松月(ショウゲツ)という品種です。
花弁が 10 枚以上のサ クラの種類は多く、特に江戸時代に品種改良されました。江戸時代の人々は、花の期間が長く、色や形の異なる花びらが特徴の八重の桜を愛しました。その結果 桜の品種改良に情熱が注がれ、数々のサクラが誕生しました。しかし、これらを私たちが愛でられないのは、戦後にサクラを植えた時、染井吉野ばかりが植樹された結果です。千代田区では、江戸時代さながらの八重咲が皇居周辺で咲きます。
1)この関山をはじめ多くの八重咲のサクラを楽しめる場所が、地下鉄東西線竹橋駅を降り て、毎日新聞社本社ビル前の内堀通り沿いを歩くとあります。
2)この写真に写る歩道を代官町通り方向に歩いて行き、毎日新聞社本社の前を通過して、 竹橋を渡ります。右手に国立近代美術館が見え、左側は皇居で平川豪があります。この 道沿いは、国立近代美術館側と平川豪側の両方に八重の桜が咲いています。この道には 染井吉野は植えられていません。八重のサクラが多いので、開会時期は 4 月 10 日頃~ 末日まで楽しめます。ちょうど染井吉野が散った後に咲くので、観光客が少ないため、 ゆっくり鑑賞できるスポットです。
3)この写真にある歩道を代官町通りに歩いて行きくと、左手に桔梗門が見えてきます。桔 梗門と乾門の間は、女性像のある広場があります。そこにはベンチや水道があって、2 月頃に濃紅色の花をつける大木になった大寒 おおかん ざくら 桜 や 4 月中旬には八重のサクアラが数本 植えられています。6 月になると桜の実を求めて小鳥がたくさんやってきます。
4)この女性像のある広場の反対側が、北の丸公園の出入口になります。その交差点には八重紅 しだれ桜が何本も植えられてます。4月初旬に濃紅色に枝垂れる桜で、通行人を魅了します。
5)この広場を背にして代官町通り沿いを歩いて行くと、右手に高速都心環状線 代官町入 口があります。遊歩道の両脇に八重のサクラが植えられています。この道は 1 km程度距 離で、右手に千鳥ヶ淵の土手に咲く菜の花も見られます。 写真を見てください。花の 色が異なるがわかることでしょう。このあたりも 4 月中旬が見頃です。
6)この代官町通りを抜けると、内堀通りに交差します。「千鳥ヶ淵」の交差点で、千鳥ヶ 淵派出所があります。左手に千鳥ヶ淵公園と右手に千鳥ヶ淵緑道の出入口です。内堀に 面して英国大使館があります。内堀通りには、染井吉野が植えられています。 千鳥ヶ淵や靖国通りの桜が注目されがちですが、千代田区には多品種の桜がほかに もたくさんあります。八重咲の桜をはじめ花の違いをもっと楽しんでいただけたらと思います。